社内政治に巻き込まれ採用時と異なる業務に

私が会社を退職した理由は、入社時の採用面接のときに上司となる部長から説明を受けた内容と、話が違うなと感じたことが多々あったためです。

私は、株式上場企業のIR担当者として、中途採用の形で入社しました。私が中途採用された理由は、前任のIR担当者が女性の方だったのですが、妊娠・出産を機に退職をされることになったことが理由とのことでした。そして、私が後任のIR担当者として入社したのです。上司のIR課長は、私より年下の女性でした。そして、その上に管理本部長がおりました。

私の採用面接のときは、1次面接の面接官が管理本部長で、最終面接の面接官が社長でした。その結果、私の採用が決まったのですが、採用の選考に一度も直属の上司となるIR課長が現れなかったので、はじめから疑問に思っていました。何らかの理由があると思っていましたが、私も職を得ないと生活できませんので、疑問に思いつつも入社したのです。

入社してすぐ、上司のIR課長に初めて会い、挨拶をしました。そのときは、普通に笑顔で接してくれましたが、何か私を警戒するような雰囲気を持っていました。しかし、初対面で私の方が年上ですので、少し警戒しているのだろうとしか私も考えず、時間がたてば打ち解けるだろうと考えていました。そして、退職する予定の前任のIR担当者からの引き継ぎ作業が2週間ほど続きました。

少しずつ仕事を担当するようになったのですが、私に業務の指示を出すのは、いつも管理本部長でした。毎日ランチに誘ってくるのも、管理本部長でした。しかし、私が担当する仕事はIRの仕事ではなく、管理本部長が担当している管理部門全般に関する仕事で、例えば契約書のチェックや弁護士とのやりとり、オフィスの清掃業者とのやりとり、社内設備の修繕関係の業務など多岐にわたりました。

一方で、IR課長は、ひとりでIR業務をこなしており、プレスリリースの作成や、株主や投資家からの電話対応、決算発表に向けての社長との打ち合わせなど忙しそうでした。IR課長の仕事ぶりからは、完全にIR業務を掌握しており、IR業務は絶対に手放さないぞという意志を感じました。それは、IR課長が私にIRの仕事を割り振ってこないことからも明らかだったのです。 また、入社して2週間ほどで気がついたのですが、管理本部長はIR課長と、ほとんど会話をしない関係でした。IR課長は、IR業務に関しては直接に社長と頻繁に打ち合わせを行っていました。IR課長は社長と直結することによって、管理本部長を外していたのです。そして、管理本部長は、部下であるIR課長が独占しているIR業務をなんとか一部でも奪うつもりで私を抱え込み、IR業務に割り込むチャンスをうかがっていました。

私はこうした「社内政治」的な環境のなかで、この会社に入社してしまったのです。私は厄介な環境の職場に入ってしまったと感じるようになりました。そして、次第にIR課長は、ささいなことで私の振る舞いについて社長や管理本部長にクレームを言うようになりました。挨拶がきちんとしていないことや、視線がいやらしいとか、威圧的な態度をとることがあるとか、といった点です。言いがかりとも受け取れますし、人によって受け取り方が異なるような、まさに告げ口という内容です。

ところが、社長がIR課長の言い分を受け入れてしまい、その都度、社長から管理本部長へ私のことを注意するようにと指示されてしまうのです。そのようなことが、何度もありました。

私は入社して3カ月目に、管理本部長とIR課長に面談を申し込みました。ひとつは、採用時点での約束通りにIR業務を担当させてもらっていない点について、ふたつめは最近、言いがかりともいえる注意を受けている。この2点について問い質したいと言ったのです。

何度か管理本部長とIR課長を相手に面談しましたが、仕事の割り振りについては、私のことをIR業務には不向きであると開き直られ、言いがかりについても「それは、あなたに問題があるから注意している」と、これも開き直られました。 私は、この面談の結果、不本意ながら退職を決断したのでした。まったく不毛な職場環境だと思ったのです。